社会人5年目前後で「評価されていない」と感じたとき、それは能力不足ではなく、評価の見られ方が変わるフェーズに入っていた可能性があります。少なくとも、その時点で自分を否定しきる必要はなかった、と今は思います。
入社数年後、昇進を意識し始めた頃の話
新卒で会社に入り、数年が経った頃。最初は目の前の仕事を覚えることで精一杯で、昇進について深く考える余裕はありませんでした。
3年目あたりから、上司や周囲から「そろそろ昇進を考えていこう」という言葉をかけられるようになり、少しずつ意識し始めました。
4年目には、一度だけ具体的な昇進の話が出ました。ただ、その話は理由がはっきりしないまま見送られ、その後その上司は異動し、最終的に退職しました。
何が足りなかったのか。何を直せばよかったのか。その答えは、最後まで分からないままでした。
「評価されていない」と思い込んでいた理由
当時の自分は、「評価されていないのかもしれない」と考えるようになっていました。
今振り返ると、評価が高かったか低かったかを断定できる材料は、当時の自分にはほとんどありませんでした。ただ一つ言えるのは、評価の中身が見えなくなっていたということです。
一番大きかったのは、給与や昇給の仕組みをよく理解していなかったことでした。
新卒入社の場合、一定期間は、いわば「新卒向けの評価枠」の中で処遇が決まることがあります。その枠内では、昇進とは関係なく、年次に応じて処遇が上がることもあります。
それでも当時の自分は、「昇進していない=評価されていない」という単純な見方しかできていませんでした。
自分の立ち位置が分からなくなっていた
同期が同じ職場にいなかったこともあり、自分がどの位置にいるのかを客観的に測る材料がほとんどありませんでした。
誰かと比べて確かめることもできず、「評価されていないかもしれない」という感覚だけが、静かに積み重なっていったように思います。
新卒や後輩が、急に優秀に見え始めた
5年目前後になると、新卒や後輩と関わる機会が増えてきます。
業務や面談の中で、「正直、自分より理解が早いかもしれない」と感じる場面が出てきました。
自分が数年かけて身につけたことを、短い時間で吸収していく姿を見るたびに、「このままだと置いていかれるのではないか」という焦りが強くなっていきました。
同期が先に昇進したときに感じたこと
追い打ちをかけるように、同期が先に昇進しました。
詳しい評価や成果は分かりません。それでも当時は、「きっと自分より結果を出していたのだろう」と考えることで、自分を納得させようとしていました。
悔しさというより、「自分はこのままでいいのだろうか」という不安に近い感情でした。
評価されたい気持ちが先行していた行動
「評価されていないかもしれない」と感じてから、行動も変わりました。
会議やチーム内での発言量を増やし、自分の考えを意識的に出すようにしました。
今振り返ると、その行動自体が無意味だったとは思いません。ただ当時は、「評価されるために何かをしている」という意識が先に立ち、その行動がどんな役割につながるのかまでは考えられていませんでした。
その頃から、少しずつ変わっていた任され方
同じ時期から、任される仕事の質が変わっていったように思います。
自分の成果そのものよりも、メンバーの相談に乗ったり、チームの状況を共有したり、判断や調整に関わる場面が増えていきました。
当時は、「仕事が増えただけ」「責任を押し付けられているだけ」と感じていました。
ですが今振り返ると、見られていたのは、個人のスキルやスピードだけではなかったのだと思います。
一番つらかったのは「辞め時かもしれない」と思ったこと
5年目前後が一番しんどかった理由は、「この会社に居続ける意味があるのか」と本気で考え始めた時期だったからです。
能力が足りないのか。評価されていないのか。そもそも向いていないのか。
答えが出ないまま時間だけが過ぎていく感覚は、想像以上に消耗しました。
今だから整理できる、当時の違和感の正体
今なら、こう整理できます。
当時の自分が苦しかったのは、評価が低かったかどうかよりも、評価の軸が変わり始めていることに気づけなかった点でした。
スキルで見られるフェーズ
- 個人の成果やスピードが中心
- 自分のアウトプットが評価の軸
- 昇進していないと不安になりやすい
役割で見られ始めるフェーズ
- チーム全体について意見を求められる
- 判断や調整に関わることが増える
- 評価が数字として見えにくくなる
評価が「目に見える成果」から「役割」へと移っていく。その途中にいたのだと思います。
自分がどのフェーズにいるか考えるための視点
断定はできません。でも、考え直すための視点はあります。
- 自分が手を動かす仕事より、人を通した話が増えていないか
- 成果よりも、判断や調整について相談されていないか
- 評価は見えないのに、仕事の重さだけ増えていないか
もし少しでも当てはまるなら、「評価されていない」と即断する必要はないかもしれません。
もう一度、この記事の結論
この記事で伝えたいのは、「我慢すれば報われる」という話ではありません。
「評価されていない」と感じたとき、その理由を能力不足だけで片づけなくていい、ということです。
少なくとも一度、「今、自分は何を見られているのか」を整理して考える余地はあります。
それができるだけでも、この悩みは一段、軽くなります。

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